潰瘍を伴う真菌感性症とイトラコナゾールの薬理作用

真菌症は放置しておきますと、患部は拡大し、時として奥へ入り込み重い症状を来たします。痒みも増し、掻くことで更に症状は進行し、皮膚は剥がれ落ち膿瘍や潰瘍を形成します。潰瘍とは皮膚や粘膜或は眼球等を覆う上皮組織が欠損し患部がその下にまで達した状態を言います。皮膚や粘膜組織を持つ身体部位であればどこにでも発生する症状と言えます。真菌感性症が原因の潰瘍を皮膚潰瘍や真菌性の潰瘍と呼ぶことがありますが、進行する過程でありがちな症状でもあります。真菌感性症の治療薬として多く使用される薬剤としてイトラコナゾールがありますが、強い抗真菌活性と幅の広い抗真菌スペクトルを有し、これらの特徴が生体内での抱合や酸化を受けにくくする事につながり、又産生される代謝物もイトラコナゾールと同等の働きを見せるなど優れた働きを持っています。更に脂溶性で組織内に長らくとどまる事が出来る点でも優れており、深在性真菌感性症や内臓真菌感性症でも治療に使用されています。イトラコナゾールに感受性が認められる真菌症には、各種白癬・カンジダ・でん風菌・クリプトコッカス・アスペルギルス等があり、その適応症例には幅の広いものがあります。イトラコナゾールは真菌が持つエルゴステロールの生合成の阻害に特異的に働くものであり、副作用については比較的少ないとされていますが、薬剤過敏症に既往歴のある人、妊産婦、肝臓や腎臓に障害を持つ方、高齢者、小児への投与には注意が必要です。又薬剤相互作用、所謂他の薬剤との飲み合わせに敏感な薬剤としても知られ注意が必要です。学会では真菌症の際の薬物投与は確定診断後にするよう指導しており、安全性の高いイトラコナゾールとは言え注意は必要です。素人判断は控え専門医の指示に従っての服用を心がける必要があります。